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ワビーニョサビーニャ

プロジェクトタイプ

陶造形作品(セラミックアート)

日付

2011~2024

場所

京都

オフィシャルサイト

ワビーニョサビーニャは造形作家ワクイアキラの、陶粘土を使った作品シリーズです。

この作品の発想に至る幼少期の原体験は、テレビ放送されていたウルトラマンです。狭い日本家屋の畳の部屋で、地球を侵略しようとやってきた宇宙人と、ウルトラマンに変身する前の人間の姿の二人が、ちゃぶ台を前に会話をしているシーンです。

これは茶道における茶室での人のふるまいや関係性によく似ています。茶室の入り口は小さく、武士は刀を持って入ることはできません。また茶室に入れば、そこには身分によるルールは適用されず、茶道のルールに従わなければならず、その基準は美にあります。美に反して従わないものはカッコ悪いのです。

地球を侵略する存在も、地球を守る存在も、狭い家屋のルールに従って、真摯に話を進めるウルトラマンのワンシーンは、
その後、ワクイアキラにとっての作品のコンセプトに影響を与えていきました。

そういったコンセプトをもとに作ったワビーニョサビーニャの
シリーズの語源は日本にある「わびさび」に由来します。
またスペイン語では子供の名前を呼ぶときに、語尾に「ニョ」や「ニャ」をつけることで、愛嬌や愛着を呼ぶ音の響きを感じることから、一見理解しにくい「わびさび」の概念をこどもにも、そして異文化をもった人たちにも伝わるタイトルを、、といったワクイアキラの思いがこもった名称になっています。

ワビーニョサビーニャたちは宇宙からやってきました。
そして彼らの頭は茶碗や花瓶になっており、
実際にお抹茶を点てたり、お菓子をいれたりして、
私たちの暮らしの中で使うことができます。
茶道の場面を模して作品を使い、観客にお茶をふるまう
イベントも行ってきました。

日本では古くから伝わる「百鬼夜行」という
絵巻物のなかでも、器やお鍋などに手足がはえて歩き回る
妖怪の姿が描かれていますが、これは私たちの生活に
存在する道具にも霊魂あるいは魂を見出す、、という
日本に古くから存在するといわれる信仰による影響が
大きいと推測します。
それは「八百万信仰」とも言われ、英訳した表現であれば
アニミズムといいかえることもできます。
アニミズム(英語: animism)とは、生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方。19世紀後半、イギリスの人類学者、エドワード・バーネット・タイラーが著書『原始文化』(1871年)の中で使用し定着した言葉とされています。

日本においては、西洋のアートカルチャーのように大きな絵や彫刻を飾るスペースがある環境や習慣を持つ人はごく一部の人に限られ、いわゆる西洋アートカルチャーや、現代美術は美館で楽しむもの、、というのが一般的な感覚、価値観である現在、それでもまだかろうじて古民家を活用したカフェや癒しをもたらす小さなカルチャーの中に、八百万的な精神が残っていると考えています。ワクイアキラはそんな現代のライフスタイルの中に、ワビーニョサビーニャたちが静かにたたずみ、ほほえんで作品を眺めてくれる人を想像して作品を作り続けています。

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